浴衣(ゆかた)とは?歴史編

浴衣は、着物の中では、価格、素材の扱いやすさやあまりルールに縛られずに着ることができる点などカジュアルに洋服感覚で着ることができる一番身近なきものの1つです。最近では、インターネット上で浴衣の着方の動画も多く紹介されていて、きもののスタートには最適です。きものの入口の浴衣を紹介します。

お風呂とともに歩む 浴衣の歴史

 浴衣は、お風呂の歴史とともに発展してきた着物の一つです。

 奈良時代・平安時代には、今のようにお風呂につかる習慣はなく、その当時、上流の人々は下着をつけて蒸し風呂に入っていました。その後室町時代には、現代のバスロープのようにお風呂を出た後、汗を吸い取り乾かすために、浴衣を着て涼むようになりました。

 浴衣の名前は、麻の単衣(ひとえ)を帷子(たかびら)と呼んでいて、入浴の際に来ていた帷子(かたびら)を湯帷子(ゆかたびら)と呼んでいたことに由来します。

入浴後 浴衣を着て涼んでいる様子(麻の湯帷子)

 

 江戸時代に入り、それまで輸入していた木綿が国内で大量に作られるようになり、一般庶民の着物の素材が、麻から木綿に急速に変わっていきました。

 江戸時代の中頃には、銭湯が普及し、蒸し風呂から湯船につかって裸で入浴するようになりました。江戸時代後期には、風呂に入った後に風呂屋の2階で浴衣を着てくつろぐようになり、湯上り着、家庭着やくつろぎ着と浴衣が着られるシーンが広がっていきました。

 

美人画  三代歌川豊国(国貞)《日月星ノ内星》天保(1830~1844)後期 東京都立中央図書館文庫室所蔵
温泉浴衣  歌川国安《上州草津温泉観望》文政(1818~1830) 東京都立中央図書館文庫室所蔵

明治大正昭和と新しい染織技術の発展とともにカラフルな浴衣もつくられるようになり、現在では伝統的な白と紺色の藍染のものからカラフルなものまで幅広い浴衣がつくられています。

花火大会や夏祭りから軽い街着として単衣着物のような感覚で着る浴衣まで、日本の夏の風物詩として男女問わず若い人も着るようになっています。

基本的な浴衣の着方

浴衣は湯上り着として発展してきているため、下着の上に浴衣を着て、足元も足袋をはかずに素足に下駄をはくスタイルが基本です。

最近では、軽い街着で浴衣を着る場合もあり、その場合は襦袢と足袋を履いて単衣風にアレンジして着ます。