いしげ結城紬の生産される地域
本場結城紬の産地の鬼怒川沿いの下流、茨城県常総市(じょうそうし)石下(いしげ)地区(旧結城郡石下町)で生産されています。
いしげ結城紬の歴史
本場結城紬と同じ結城紬という名前がついていますが、本場結城紬とは、起源、生産している地域、作り方等が異なる織物です。
いしげ結城紬は、綿織物からはじまりました。江戸時代の1723年に鬼怒川の大洪水があり、この地域の桑畑が壊滅的な被害にあい、綿の栽培がはじまりました。この綿をつかって1800年頃から農家の副業で石下織物が生産されるようになりました。その後、高機を導入し、1900年に入り綿に絹を織り混ぜた絹綿交織布の生産が始まり、大正時代に入り動力織機が導入され、普段着(実用呉服)の和服産地としてウールやシルクウールなども生産されました。今のいしげ結城紬の名称に定着する前には、石下紬、筑波紬、豊田紬などのブランド名でも生産されていました。そして昭和30年には絹織物の生産が始ってから現在まで絹織物の生産を行っています。
いしげ結城紬の特徴
いしげ結城紬は絣に特徴があり、十字絣、亀甲絣、緯総絣などがあり、絣が細かいほど工芸的な価値があがります。
また、いしげ結城紬は、主に、本場結城紬を取り扱っている買継商からの受注生産のみでつくられています。本場結城紬の買継商がデザインし、それをもとに生産をしているので本場結城紬とデザイン的に似ています。価格的に本場結城紬より買いやすいため、本場結城紬の姉妹品のような位置付で扱われることが多い紬です。
糸・・・全て絹で、主に生糸、絹紡糸および真綿手紡糸(動力織機のスピードに耐える強度をもたせるため真綿から機械で撚りをかけて糸にしたもの)を使用しています。
染・・・絣に特徴があり、絣くくり、すり込み、型紙捺染等あり図案により技法を使い分けています。
織・・・主に動力式のシャトル織機で織られています。絣模様を織る時は、織機を止めたり、スピードを落としたりして柄をあわせながら織すすめていきます。
いしげ結城紬の証紙について
奥順㈱では茨城県結城郡織物協同組合検査済み商品で、独自の登録商標で「はたおり娘」という名前で証紙をつけています。
このほかのいしげ結城紬は、茨城県結城郡織物協同組合検査済みの証紙と各メーカーの商品ブランド名(綿綿わたわた、今幡部いまはたべ等)の証紙が貼られています。
茨城県伝統工芸品(昭和63年3月31日指定)
常総市指定無形文化財(昭和56年12月7日指定)
製造工程のうち、製織、絣しばり、摺込捺染、型紙捺染 機巻が指定されている。
(産地組合)茨城県結城郡織物協同組合
<取材・写真協力> 奥順株式会社、茨城県結城郡織物協同組合