今でも着物に使われる亀甲文様は、幸せと長寿の願いがこもった文様です。今回は、亀甲文様をご紹介します。
亀甲文様は、日本へは大陸から伝わったといわれています。
古くから亀が山を背負って世界を支えているという思想がインドをはじめ世界に広くあり、亀は世界の元・宇宙そのものと考えられていました。
そして、古代中国では、亀のおなかの甲羅に文字(甲骨文字)を刻み、火であぶった棒をさし、その亀裂で吉凶を判断する亀卜(きぼく)が行われており、亀は神聖なものと考えられていました。
それが、陰陽五行の思想と結びつくことで、四神の1つ玄武(げんぶ)になったといわれています。
また、中国では、亀は千年生きると毛が生え、五千年で神亀、一万年で霊亀と呼ばれるようになるとあり、長寿の象徴として考えられていました。
亀甲文様は、正六角形の形が無限に広がる形として永遠の繁栄と亀の長寿の意味が合わさり、おめでたい文様として現在でも広く使われています。
亀甲文様の種類紹介
亀甲つなぎ 亀甲が無限に広がる形として長寿吉兆をもたらす縁起の良い模様。
亀甲花菱
亀甲の中に花菱(はなびし)を入れた亀甲花菱文は、亀甲に菱(ひし)の形の花を入れることで、水辺に繁茂する菱の子孫繁栄の意味もくわわり、おめでたい文様として平安時代には装束にも使われるようになりました。
毘沙門亀甲
京都東寺所蔵の中国唐末の兜跋毘沙門天像(とばつびしゃもんてん)の甲に同種の意匠があるところから来た名前です。
やぶれ亀甲
亀甲文様が、つながらずにとびとびに配置されているものをやぶれ亀甲と言います。